友人へのプレゼントとクレジット利用について
クレジット会社の承認がある場合には可能ですが、無断で譲渡する場合には問題があります。
商品の譲渡は禁止
ショッピングクレジットやクレジットカードの契約約款には、次のような所有権留保の条項が、ほぼ例外なく入っています。
「善良なる管理者の注意をもって、商品を管理し、買入れ、譲渡、賃貸その他会社の所有権を侵害する行為をしないこと」
よって、これに違反した場合には、一般に約款において期限の利益喪失事由と規定されていますので、購入者は残金の全額一時払いを請求されても、苦情を申し出ることはできません。
※期限の利益の喪失の主張が権利の乱用に当たる場合は除かれます。
家族や友人にプレゼントする行為が含まれるのか?
そういうことになります。
購入者が、商品を自ら保有し、利用することを予定せずに、家族や友人にプレゼントするような場合は、原則として上記の所有権留保の条項に抵触しますので、クレジット会社の承認のない限り、契約違反になってしまいます。
期限の利益喪失事由になっている理由
所有権留保には、クレジット契約者が万一クレジット代金の支払いを延滞したときに、商品を引上げ・換価し、残金に充当するという担保的な機能があります。
しかしながら、この商品が第三者にプレゼントされてしまう場合、通常は、プレゼントされた人は所有権がプレゼントした人にないことを過失なく知らないと考えられます。
この場合、プレゼントされた人は、民法上の即時取得の規定により、所有権を取得するので、クレジット会社はこの人に留保所有権を主張し、商品を引き上げることができなくなってしまいます。
そうすると、クレジット会社は、万一の場合に所有権の留保にもとづいた債権の回収ができなくなってしまいます。
よって、このような行為は禁止し、かつ期限の利益喪失事由としているのです。
事前のクレジット会社への通知
事前にクレジット会社に、クレジットで購入する商品がプレゼント用であることを通知していて、クレジット会社が商品の有無にかかわらず、信用力や支払能力に問題なしとして承認するのであれば、クレジット会社は所有権留保を放棄したものと考えられますので、プレゼントしても問題ないと思われます。
プレゼントしたのが登録できる動産の場合について
仮に、クレジット会社に無断で商品が譲渡された場合に、その商品が電化製品などの動産で、譲り受けた人がそれを善意取得していると、前述のように、クレジット会社はその電化製品を引き上げることができません。
しかしながら、これが、自動車などの登録動産の場合で、クレジット会社が所有者として登録していれば、譲り受けた人は、クレジット会社に所有権を対抗できなくなります。
つまり、クレジット会社は、譲渡された後であっても、自動車を取り戻すことができることになります。 |