クレジット・カードの法律ガイド



商品の瑕疵とクレジットの支払拒否

商品の瑕疵とクレジットの支払拒否について

三社間取引の場合には、売買契約が完全に履行されていないわけなので、クレジット会社には、その事由が解消されるまで「支払停止の抗弁」を申し出ることができるようになりました。

商品の瑕疵

商品の瑕疵とは、そのものが当然もつべき性質をもっていないこと、取引上普通に要求される品質が欠けているなどの不完全な状態を意味します。

二者間契約の場合で商品に瑕疵があった場合

この場合の契約では、購入者と販売店の債権・債務は相関関係にあります。

これは、相手が債務を履行しなければ、自分の債務の履行を拒否できる権利が発生するということを意味します。これが「同時履行の抗弁権」といわれるものです。

この場合、商品に瑕疵があれば、販売店は債務を完全に履行していないのですから、購入者は「同時履行の抗弁権」を主張することができます。

これによって、購入者は瑕疵のない商品が引き渡されるまで、代金の支払を拒否することができるのです。また、もしそれが履行されない場合は、契約自体を解除することもできます。

三者間契約の場合で商品に瑕疵があった場合

この契約の場合には、購入者と販売者の他にクレジット会社(割賦購入あっせん業者)が登場します。

そして、購入者は、販売店と商品の引渡しに関する売買契約等を結び、代金の支払に関する契約は、クレジット会社と立替払契約を結ぶことになります。

これら2つの契約は別個のものなので、売買契約によって生じた事由が、立替払契約に関する代金の支払にどのように関係させるかが問題になります。

この問題については、割賦販売法では、支払停止の抗弁を規定して、クレジットの対象になった売買契約・役務提供契約に関して、販売業者、役務提供事業者に生じている事由をクレジット会社に対抗できることになりました。これが「抗弁権の接続」といわれるものです。

よって、商品に瑕疵がある場合には、売買契約に関して販売業者に主張でき事由ですから、この事由をもってクレジット会社に立替払契約上の支払の停止を主張することができることになります。

ちなみに、支払停止の抗弁を申し出る要件とされているわけではありませんが、購入者は書面で具体的に事由を明らかにするよう努めることとされています。

クレジット会社の手続き

消費者からの「支払停止の抗弁」に対して、クレジット会社は申出の内容を調査し、必要に応じて購入者への請求を停止する手続きをとります。

一方、購入者の抗弁の事由は、販売店との契約上のものなので、クレジット会社に抗弁するだけでなく、「販売店との間でその事由の解消に努めなければならない」と定められています。

抗弁の事由について

昭和59年の通産省(現在の経済産業省)産業政策局長通達では、抗弁の事由として、次のような例示をしています。

■商品の引渡しがなされないこと
■商品に破損、汚損、故障、その他瑕疵があること
■商品の引渡しが遅れたため、商品の購入目的が達せられなかったこと
■商品の販売条件となっている役務の提供がないこと
■その他商品の販売について、販売店に対し生じている事由があること

また、平成11年10月施行の割賦販売法の改正で、指定役務、指定権利が加えられたことによって、役務の未提供、期日に遅れた役務の提供、役務提供内容の相違、クーリングオフ・中途解約の未清算、関連商品等の未納の場合に、支払停止の抗弁が認められるようになりました。

「抗弁権の接続」の適用が受けられない場合について

次のような場合には、「抗弁権の接続」の適用がうけられません。

■指定商品が購入者にとって商行為になるとき
抗弁権の接続というのは、あくまでも取引関係に不慣れな消費者を保護する目的で認められていますので、それが商行為にあたる場合は、適用がありません。

ただし、平成12年の割賦販売法の改正で、業務提供誘引販売個人取引については、仮にそれが商行為になるとしても、そもそも業務提供誘引取引販売が取引に不慣れな一般消費者との間で行われることが多いことから、商行為から除外されています。

■購入者が支払うべき金額が政令(割賦販売法施行令)13条の3で定めた金額未満のとき
政令で定めた金額とは、支払金額が4万円※に満たない場合とされています。

抗弁権の接続の適用に、金額の下限を定めたのは、次のような理由からです。

・クレジット会社による抗弁事由等の事実関係の調査にかかるコストがいたずらに増大してしまうこと
・少額のため十分な調査ができず、抗弁権の接続の適正な運用がなされなくなること

※リボルビング方式の場合は、現金価格が3万8千円です。

■購入者による支払の停止が、信義に反すると認められるとき
購入者が次のような行為を行ったときは、信義に反すると認められるので、クレジット会社に対する抗弁権の接続は、適用されないと解されています。

・友人・知人などに名義を貸した場合
・販売店と共謀して、クレジット会社から資金を不当に得ることを目的として、架空の売買契約等を行い、購入者がクレジット会社に虚偽の契約意思を示した場合
・クレジット会社と立替払契約等が成立しているにもかかわらず、クレジット会社に無断で販売店との間の売買契約等を合意解約した場合
・クレジット会社に無断で販売店にクレジット代金の支払を行った場合
・見本・カタログなどの提供内容の相違による支払停止の抗弁を申し出る場合で、その申出が商品受領後長期間経過した後になされた場合

抗弁事由が解決したとき

当然、支払停止額の支払を履行することになります。

支払停止の抗弁による売買契約等

支払停止の抗弁によって、支払を停止する申出がされたとしても、それはあくまでも、購入者と販売店との売買契約等を原因として生じる事由について支払を停止するものなので、売買契約等自体を解消するものではありません。

▼関連トピック
スイッチカードとは?

スイッチカードというのは、提携カードの一種です。

また、スイッチカードは、信販系・銀行系カードと、流通系・石油系カード会社が提携して発行するカードなどで、会員は両方の会社に帰属します。

スイッチカードの仕組みは?

例えば、信販会社A社と流通系クレジット会社B社とのスイッチカードがあるとします。

このとき、A社の加盟店ではA社のカードとして、B社の店舗・加盟店ではB社のカードとして取り扱われます。

また、カード会社から加盟店への支払い(立替払い)や会員への請求はA社とB社が別個に行います。

ちなみに、A社の会員であると同時に、B社の会員でもあるので、入会審査は双方が行います。


□割賦販売法と業者の契約解除、残金一括請求
□スイッチカードとは?
□スキップとは?
□スタンド・インとは?
□総合割賦とは?

□商品の瑕疵とクレジットの支払拒否
□睡眠会員とは?
□スキミングとは?
□ゼロフロアリミットとは?
□即日発行・即日発券とは?

□出資法
□初期与信
□消費者金融連絡会
□商品引揚げ・商品引取り
□物上代位
□物件登録の登録期間
□不動産投資インデックス
□不動産流通近代化センター
□文化財保護法の有形文化財
□一括処分
□不動産金融
□不動産登記簿
□不動産変換ローン型商品
□プロパティマネジメント
□変動金利型住宅ローン

Copyright (C) 2011 クレジット・カードの法律ガイド All Rights Reserved